ひと口に「転職する」といっても、その方法はひとつではありません。
どのように転職活動を進めていけばよいかも、年齢、考え方などによってさまざまです。
ここでは、下記について解説いたします。
- ハローワークの利用方法
- 第二新卒・20代の方がハローワークを利用して転職活動をするポイント
- ハローワークのブラック企業の求人について
第二新卒とは?

「第二新卒」は一般的に、『学校卒業後に就職したものの、早いタイミングで退職して転職活動をしている若手の求職者』と定義されています。
企業によって考え方が多少違うこともありますが、「就職してから退職までが3年以内」と線引きしていることが多いようです。
そのため、「第二新卒」にあたる年齢層は下記といえるでしょう。
- 四年制大学の卒業者である23歳~25歳
- 短期大学の卒業者 である 20歳~22歳くらい
第二新卒は年数こそ短いものの、社会人経験がある
第二新卒は成長の伸びしろがあるので育てがいがある
など、企業からの需要が高まっています。

最近は、卒業後3年までは新卒と同じ扱いで選考を受け付ける企業も増え、新卒の学生と一緒に選考を受けられる場合もあります。
卒業後に就職しなかった(できなかった)人は「既卒」と呼ばれ、第二新卒とは扱いが異なります。就業経験の有無が、既卒と第二新卒の分かれ目であるといえます。

ハローワークとは?

ハローワークは、国が設置している職業紹介窓口のようなもので、正式には「公共職業安定所」と呼びます。(「職安」と省略して呼ばれることもあります)
正社員はもちろん、契約社員やパート・アルバイトのような非正規雇用も含め、求職者に仕事を紹介することが主な業務です。
このほか、下記もハローワークが担当しています。
- 雇用保険の手続き
- 失業保険の手続き
- 仕事を始める、または辞めるときに発生する保険金の手続き
ハローワークは国内に500か所以上あり、若者、女性、高齢者、障がい者を含め、仕事を探す全ての人をサポートしています。
求職者がサービスを受けるにあたり、料金はかかりません。また、求人を出す企業側も無料で利用できることも、大きな特徴といえるでしょう。
ハローワークの利用方法

求職者への職業紹介が主な業務であるハローワークですが、どんなことで利用するかは人によって様々です。
ここでは、下記について具体的に解説していきますので、これからハローワークを利用するかたは参考にして下さい。
- ハローワークの利用方法
- ハローワークでどんなことが出来るのか
利用登録
始めてハローワークを利用する際は、まず登録を済ませましょう。
渡される書類に必要事項を記入し、窓口に提出します。
すると、「ハローワークカード」と呼ばれる、登録者の証明書のようなものを渡されます。
これが発行されれば、ハローワークを利用できるようになります。
ハローワークの利用登録はどこでもできる?
各ハローワークには管轄のエリアがありますが、利用登録そのものはどのハローワークでも大丈夫です。
ハローワークカードさえあれば、どのエリアのハローワークでも利用できます。
例えば、東京在住の方が岡山県に帰省したついでに、岡山のハローワークで登録をしても問題ありません。
東京都内のハローワーク所在地や管轄については「東京労働局 ハローワーク一覧」のホームページをご確認下さい。
相談窓口
職業の紹介を受けるカウンターのことです。
ハローワークの入口近くに「総合窓口」があるので、そちらに利用の旨を伝えると、受け付けの手続きをしてくれます。
相談窓口の使い方は人それぞれですが、主に下記を行うかたが多い傾向にあります。
- ご自身が興味をもった企業の求人票を持っていく
- アドバイザーにご自身の希望を伝えて求人を探してもらう
ハローワークに企業の情報が残されている場合もあり、それを教えてもらうこともできます。
企業の情報を見て『応募したい』と感じたときは、アドバイザーにその旨を伝えれば、紹介状の発行など、応募への手続きを進めてくれます。
近年は新型コロナウイルス感染症の流行により、窓口相談をやめ、電話での相談に限られている場合もあります。あらかじめ最寄りのハローワークに確認しておくとよいでしょう。
求人検索・書類作成など
ハローワーク内に設置されているパソコンで、募集中の求人を検索することができます。
総合窓口で「求人を検索したい」と伝えると、空いているパソコンを案内してくれます。
ご自身の希望の職種・業種、雇用形態など、さまざまな条件で求人を絞ることができるので、いろいろ希望や条件を入れてみるとよいでしょう。
求人票には「34歳以下」など、応募対象者の大まかな年齢が書かれていることが多いのですが、第二新卒や20代に特化したような専用求人は、基本的にありません。
ただ、求人検索時にご自身の年齢を入力すると、年齢に合った求人が紹介されるようになっています。
ハローワークによっては、履歴書や職務経歴書を作成できるパソコンもあります。
求人検索のパソコンとは分けられていることが多いので、総合窓口では「書類作成用のパソコン」と伝えるようにしましょう。
なお、既にパソコン上で作られた書類を訂正することもできます。その場合はデータが入ったUSBメモリなどを忘れないように注意が必要です。
保険、給付金などの手続き
失業保険の申請、保険や給付金の窓口は、求人紹介とは別に設けられています。
受付を済ませ、必要なフローを経て申請しましょう。
なお、各ハローワークには管轄しているエリアがあることは前述しましたが、この申請については、お住まいの地域を管轄するハローワークでのみ受け付けています。
外出などの際に、管轄外のハローワークに立ち寄って申請することはできませんのでご注意ください。
第二新卒・20代などの若年層向けハローワークについて

さきほど、「第二新卒や20代に特化した専用の求人は基本的にはありません。」とお伝えしましたが、だからと言って若い世代がハローワークを利用する意味がないわけではありません。
このような若い世代が利用できるハローワークには、若い世代向けの支援施設が用意されています。
① 新卒応援ハローワーク
設置場所 | 各都道府県に1か所以上 ※都市部は複数設置されていることが多い |
対象者 | 新規学卒者(新卒)扱いの学生、学校を卒業して3年以内の既卒者 ※第二新卒も利用可能 |
「新卒応援ハローワーク」とは、大学・大学院・短期大学・工業高等専門学校・専門学校に通う学生や、その卒業生を対象に学校と連携し、就職を支援するハローワークです。
所在地については厚生労働省のホームページ「新卒応援ハローワーク一覧」をご確認下さい。
新卒応援ハローワークの主な支援内容
<担当者を決めての個人支援>
一般的なハローワークでは、窓口での相談を担当するスタッフを選べません。
しかし、新卒応援ハローワークでは、窓口のスタッフを固定することができます。
このため、スタッフがみなさんの性格や要望を理解できることが多く、より各々にあった求人を紹介してもらえる可能性が高くなります。
<各種セミナー、面接会の実施>
就活マナーや書類の作り方をはじめとしたセミナーや、書類選考なしで採用担当者と話せる面接会など、さまざまなイベントが頻繁に開かれています。
とくに面接会は、ハローワークの求人検索には出てこない「非公開求人」の企業の面接を受けられることもあります。
たしかに、「“基本的に “ 若年層に特化した求人はない」のですが、じつはハローワークも、特定の年齢層に焦点を当てた非公開求人を持っているのです。
② わかものハローワーク
設置場所 | 各都道府県に1か所以上 ※都市部は複数設置されていることが多い |
対象者 | 34歳以下 ※第二新卒も利用可能 |
「わかものハローワーク」とは、34歳以下の比較的若い世代の方を対象としたハローワークです。
所在地については厚生労働省のホームページ「わかものハローワーク・わかもの支援コーナー一覧」をご確認下さい。
わかものハローワークの主な支援内容
- 担当者を決めての個人支援
- 各種セミナー、面接会の実施
主な支援内容は「新卒応援ハローワーク」と似ています。
ただ、より多くの方に細かい支援を提供するという点が、「わかものハローワーク」の大きな特徴といえるでしょう。
ただし、新卒・第二新卒に特化した機関ではないため、応募条件として多少の経験年数を問うなど、面接会に参加する企業の特徴に違いが見られることがあります。
そのため、ご自身が第二新卒として扱ってもらえる間は「新卒応援ハローワーク」を利用したほうがよいかもしれません。
③ ハローワークU-35
東京都千代田区にある「東京しごとセンター」に、34歳以下が利用できる「ハローワークU-35」という名前のハローワークもあります。
こちらは「東京しごとセンター」と連携しての就職支援が多く、34歳以下専用の企業面接会などのイベントが多く用意されています。(※相談窓口のスタッフは固定ではありません)
第二新卒・20代がハローワークを利用するときの留意点

次に、第二新卒・20代の方がハローワークを利用するとき、何を気に留めておくと良いのかについてご説明いたします。
積極的に若年層向けの機関を使う
第二新卒をはじめとする20代の方であれば、先ほど紹介した「新卒応援ハローワーク」や「わかものハローワーク」など、なるべく若年層向けのハローワークを使うとよいでしょう。
通常のハローワークでは、さまざまな年齢層の方の就職をサポートするという特性上、どうしてもサービスが画一的になってしまいます。
若年層に向けた取り組みもあるにはありますが、それを受けるチャンスはどうしても少なくなります。
一方、若年層向けのハローワークであれば、セミナーや面接会などのイベントは、すべてご自身に向けられたものです。
求人を紹介してもらうだけでなく、自分から企業に会いに行くチャンスが増えることで、ご自身の将来をより深く考えることもできます。
ご自身の年齢にあったサービスを提供ですので、めいっぱい活用しましょう。
インターネットや電話も併用する
ハローワークの求人は、応募のフローに「紹介状を発行してもらう」というステップがあるため、基本的にはハローワークに足を運ぶ必要があります。
しかし、頻繁にハローワークに行くと、交通費がかさむ上に、新型コロナウイルスの感染が気になるかたもいらっしゃるでしょう。
ですので、インターネットや電話も併用することもおすすめします。
「ハローワークインターネットサービス」でハローワークの求人をご自宅のパソコンやスマホでも見ることができます。
求人票には「求人番号」というものがありますので、それを控え、お近くのハローワークに電話してお伝えすると、紹介状を発行してもらえます。
紹介状のやりとりは、下記の2パターンが多いようです。
- ハローワークからご自宅に郵送され、それを応募書類と一緒に企業へ送る
- ハローワークから応募企業に直接郵送され、応募書類のみをご自身で送る
相談窓口の担当者が決まっていれば、話が通りやすくなる可能性がありますので一度相談してみましょう。
求人の閲覧には求職者登録が必要なので、その登録を行う初回だけは、必ずハローワークに行く必要があります。
イベントの事前申し込みをする
「ハローワークには面接会などのイベントが多くある」とお伝えしましたが、中には人数制限があり、事前の申し込みが必要なイベントもあります。
イベント情報はハローワークのほか、ウェブサイト上でも確認できるので、申し込みが必要か、かならず確認しましょう。
窓口に行かなくても、電話で申し込みができる場合もあります。ご興味をもったイベントがあれば、一度電話で確認してみることをおすすめします。
「ハローワークの求人はブラック企業が多い」と聞くけれど・・・?

ハローワークの求人はブラック企業が多いと聞いたことがあるけど、本当に使って大丈夫なのか?
と疑問を持たれた方、多いのではないでしょうか。
確かにインターネット上には、そのように書かれたサイトが多くありますが、この話題に少しふれておこうと思います。
ハローワークに限らずブラック企業の求人はどこにでもある
「ハローワーク=ブラック」の図式をイメージされているかたが多いかもしれません。
もちろん、ハローワークの求人にブラック企業が混ざっていることは事実です。
ですが一方で、「転職サイトや転職エージェントの求人にブラック企業が1つもない」というわけでもありません。
つまり、求人媒体の種類に関係なく、ブラック企業の求人はどこにでも一定の確率で存在するということです。
実際、ハローワークの求人から応募し、 働きやすいホワイト企業に入社した経験を持つかたもいらっしゃいます。
- 仕事の進め方や不明点を上長に相談でき面倒がらずに対応してくれた
- 残業などの時間管理をしっかりしてくれた
- 会社への疑問や意見を聞いて、経営会議で話題にしてくれた
- 入社1年後に給料(時給)を上げてくれた
探しさえすれば、ハローワークでもこのような求人に出会うことは不可能ではありません。

よい企業の求人にめぐり会うために
ハローワークの求人に限った話ではありませんが、よい企業の求人にめぐり会うために必要なことは下記の2つだけです。
- ご自身の希望(給与や勤務場所、職種など)をしっかり持つこと
- 求人票や面接官の態度から、「この企業は大丈夫そうか」と判断する審美眼を持つこと
求人票に書かれていることをよく読むと共に、抜けている部分を探すこと。
そして面接中の態度やこちらからの質問を通して相手(企業の担当者)を観察し、ご自身が働くイメージができるかどうかをしっかりチェックする。
これだけでよい企業を見つけられる確率は上がります。
時間はかかっても、企業をしっかり見る力をつけることが大切です。
まとめ

みなさんの就職を支援する公的機関であるハローワーク。
第二新卒や20代をはじめ、さまざまな年齢層に向けた専門の窓口があり、使い方によってはご自身の強い味方になってくれることでしょう。
残念ながら、ブラック企業の求人は紛れ込んでいます。しかし、それはどんな求人媒体でも同じ。就職先の門戸を広げるという意味でも、利用を検討する価値はあります。
就職・転職は「縁」だったりします。
ハローワークはブラック企業の求人が多いって噂だし
ハローワークの求人に応募してもどうせ落とされるから
などと決めつけず、活動の幅を広げて「縁」に恵まれるチャンスを増やしていきましょう。