転職活動では、アピールポイントとなる武器をどれだけ持っているかがとても重要になります。
そんな転職活動における武器の一つとして有効なのが、「資格」です。
この記事では、転職活動における資格の必要性やおすすめの資格について紹介していきます。
転職に向けて資格を取得するメリット・デメリットや業界別のおすすめの資格などについて紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
転職に資格は必要?必要ない?

転職において、資格の取得は必須というわけではありません。
弁護士事務所や税理士事務所、建築事務所など特定の資格を保有していることを採用の条件の一つにしている求人もありますが、そういった求人は全体の一部にすぎません。
ほとんどの求人は、資格の有無を問わず採用してくれます。
しかし、どういった資格でもいいわけではありませんし、アピールしてもほとんどプラスにならない資格もあるため注意が必要です。
「どの資格を取得するか」が重要になるので、資格を取得したいと考えているのであれば、そこを意識して取得することが大切です。
転職に向けて資格を取得するメリット

転職に資格は必要ありませんが、資格を取得することで得られるメリットもいくつかあります。
転職に向けて資格を取得する主なメリットとしてあげられるのは以下の4つです。
- 資格を保有していることをアピールできる
- 応募できる求人が増える
- 給与に反映される
- 努力ができる人間であることをアピールできる
それぞれのメリットについて詳しく紹介していきます。
1. 資格を保有していることをアピールできる
転職に向けて資格を取得するメリットの中でも特に大きなメリットと言えるのが、資格を保有していることをアピールできる点です。
資格を保有していることで採用が決まるわけではありませんが、書類選考や面接でアピールできる武器が増えるのは確かです。
資格を保有していない場合、資格以外の部分でいかに自分が魅力的な人材であるかをアピールしなくてはいけません。
アピールできるポイントが多い人や実績のある人、話術のある人であればわざわざ資格を取得する必要はないでしょう。
しかし、そうでない人の場合、資格を保有していること自体が大きなアピールポイントになります。
そのため、アピールポイントを増やすための手段として資格を取得するのもおすすめです。
2. 応募できる求人が増える
転職サイトや転職エージェントに掲載されている求人の中には、特定の資格を保有していることを応募の条件としている求人が多々あります。
例えば、建物の建築をおこなう建築事務所では図面の設計が主な業務の一つになりますが、図面を設計するには建築に関する深い知識が求められます。
そこで求められるのが、二級建築士や一級建築士の資格です。
建築事務所の求人は応募の条件に「建築士の資格を有していること」とされているものが多く、建築士の資格を持っていないと応募できないというケースも少なくありません。
3. 給与に反映される
特定の資格を保有していると「資格手当」という形で給与に反映されることがありますが、これも転職に向けて資格を取得するメリットの一つになります。
例えば、不動産業界に転職する場合、宅建の資格を保有していると数万円の資格手当がつきます。
資格手当の金額は企業によって異なりますし、資格手当がつかないケースもありますが、資格手当として毎月の給与に3〜5万円近く乗せされるケースも少なくありません。
仮に毎月5万円上乗せされるとすると、年収が60万円高くなる計算になります。
また、取得する資格によっては高収入が期待できる業界や業種に転職できる可能性もあります。
代表的な資格としては弁護士や税理士など士業の資格があげられますが、これらの業種に転職できた場合、年収1,000万円以上も夢ではありません。
4. 資格を取得するための努力ができる人間であることをアピールできる
資格は簡単に取得できるものではありません。
難関と呼ばれる資格であればなおさらです。
そのため、転職に向けて資格を取得する場合、目的を遂行するためにしっかりと努力できる人間であることをアピールできるというメリットもあります。
どの業界であっても目的を達成するために努力できる人間は重宝されるので、大きなアピールポイントになるはずです。
認知度の低いマイナーな資格だと、その資格の難易度がわからず、どれだけの時間を費やさなくてはいけない資格であるかが相手に上手く伝わりません。
そうなるとどれだけ努力したかについても伝わらなくなってしまうので、その業界で広く認知されている資格を取得するようにしましょう。
転職に向けて資格を取得するデメリット

転職に向けて資格を取得するメリットとあわせて確認しておきたいのが、資格を取得するデメリットです。
転職に向けて資格を取得することに大きなデメリットはありませんが、あえてあげるとすれば、資格を取得するのに時間とお金がかかってしまう点があげられます。
資格を取得するには試験に合格しなくてはいけません。そのため、テキストや問題集を購入し、試験の合格に向けて勉強する必要があります。
数時間の勉強で取得できる資格もありますが、そういった資格はアピールの材料にならないので避けなくてはいけません。
また、試験を受けるための受験代やテキスト代はもちろんのこと、試験会場までの交通費が必要になるケースもあります。
転職のために資格を取得するときの注意点

時間とお金がかかるというデメリットがあるものの、転職において魅力的なメリットも多い資格の取得。
メリットとデメリットを比較した上で資格を取得しようと考えている方は、転職のために資格を取得するときの注意点も把握しておく必要があります。
転職のために資格を取得するときの主な注意点は以下の3点です。
- 認知度・知名度の高い資格を取得する
- 転職したい業界や業種にあった資格を取得する
- 資格を取得するだけでなくどうアピールするかも考えておく
それぞれの注意点について詳しく解説していきます。
1. 認知度・知名度の高い資格を取得する
転職のために資格を取得するのであれば、認知度や知名度の高い資格を取得する必要があります。
なぜなら、ほとんど認知されていない資格や知名度の低い資格を取得してもアピールの材料にはならないからです。
転職に向けて取得できる資格には、国家資格のような知名度の高い資格もあれば、業界でもほとんど知られていないような団体が独自に設けている資格もあり、マイナーな資格もたくさんあるので注意しなくてはいけません。
業界の人でも知らないマイナーな資格の場合、取得したとしてもアピール材料にはならず、取得するためにかけた時間とお金が無駄になってしまいかねません。
2. 転職したい業界や業種にあった資格を取得する
転職のために資格を取得するのであれば、転職したい業界や業種にあった資格を取得することも大切です。
取得の難易度が高く、評価される傾向にある国家資格を頑張って取得したとしても、自分が進みたい業界や業種で活かすのが難しい資格だとアピールの材料にはなりません。
例えば、国家資格である宅地建物取引士(宅建)の資格を頑張って取得したとしても、ITやWeb業界への転職には役立ちません。
ITやWebの業界に進みたいのであれば、宅建ではなくITパスポートや基本情報技術者などの資格を取得するべきです。
「認知度や知名度が高いから」という理由だけで資格を取得してしまうと時間とお金を無駄にしてしまいかねません。
3. 資格を取得するだけでなくどうアピールするかも考えておく
転職のために資格を取得するのであれば、ただ取得するだけでなくどうアピールするかについても事前にしっかりと考えておくようにしましょう。
資格は履歴書に記載できるため、記載しただけでアピールできると考えている方は少なくありません。
もちろん、履歴書にしっかりと目を通し、資格を保有していることをプラスにとらえてくれる企業の担当者もいます。
しかし、サッと目を通すだけの担当者も少なくありませんし、面接で触れてこない担当者もいます。
その場合、せっかく頑張って取得した資格が無駄になってしまいかねません。
そうならないためにも資格を保有していることをしっかりとアピールする必要がありますし、あらかじめどうアピールするかを考えておく必要があります。
面接のときに相手から資格について質問されないようであれば、自分から資格に触れ、アピールしましょう。
「なぜその資格を取得したのか」や「採用された場合にどう活用するのか」についてはもちろん、「資格を取得するためにした努力」についても触れ、努力できる人間であることもアピールするといいでしょう。
おすすめの資格を業界別に紹介

ここからは、転職でのアピール材料になるおすすめの資格を業界別に紹介していきます。
自分が進みたいと考えている業界やなりたい業種への転職を有利に進めるための参考にしてみてください。
業界を選ばずアピールできるおすすめの資格
業界を選ばずアピールできる資格としては以下の3つがあげられます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
日商簿記検定 | 3級:47%前後 2級:18%前後 1級:10%前後 |
中小企業診断士 | 36%前後 |
TOEICなど英語関連の資格 | ・TOEIC:アピールできるのは600点以上 (※取得率は全体の1割以下) ・英検:アピールできるのは2級以上 (※合格率は1次、2次ともに60%前後) |
企業の経営状況を管理する専門家であることを示す資格、日商簿記検定。どの業界でも重宝される資格で、3級でも十分にアピールできる資格です。
中小企業診断士は経営のスペシャリストであることを示す資格で、国家資格です。
36%という合格率は国家資格にしては高いように感じられますが、出題範囲も広く、合格するのは決して簡単ではありません。
しかし、その分、評価も高く、転職活動において重宝します。
TOEICなど英語関連の資格もどの業界でも求められる傾向の強い資格です。
転職の際に英語関連の資格をアピールするのであれば、TOEICは最低でも600点以上の取得が必要になります。しっかりとアピールしたいのであれば650点以上を狙いましょう。
英検であれば2級以上を目安にしてください。
これらの基準で英語関連の資格を取得することができれば、グローバル展開している企業やこれから海外事業に力を入れていこうと考えている企業へのアピールに活用できます。



不動産業界への転職におすすめの資格
不動産業界への転職に有利に働くおすすめの資格として以下の3つがあげられます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
宅地建物取引士 | 15%前後 |
不動産鑑定士 | 5%前後 |
管理業務主任者 | 22%前後 |
これらの資格はいずれも国家資格であるため、合格率こそ高くありませんが、不動産業界への転職に大きく貢献してくれます。
宅地建物取引士は「宅建」とも呼ばれる不動産取引の専門家であることを示す資格で、不動産業界で重宝する大人気の資格です。
不動産鑑定士は不動産の価格を適切に判断する知識を持ち合わせていることを示す資格で、不動産の買取をおこなっている企業へ転職しやすくなります。
管理業務主任者は、管理組合に管理業務を委託する際の説明や報告をおこなうときに必要になる資格となっています。
建築・住宅業界への転職におすすめの資格
建築・住宅業界への転職に有利に働くおすすめの資格としては以下の3つがあげられます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
一級・二級建築士 | 一級:18%前後 二級:37%前後 |
コンクリート診断士 | 15%前後 |
ファイナンシャルプランナー(FP) | 3級:70%前後 2級:30%前後 1級:10%前後 |
建築士の資格は、住宅や商業施設など建物の設計をおこなう上で必須になる資格です。
難易度も高く受験資格を得るだけでも大変なので決して気軽に取得できる資格ではありませんが、その分建築業界で高く評価される資格でもあります。
コンクリート診断士は建物に使用されているコンクリートの調査をおこなうコンクリートのプロフェッショナルであることを示す資格です。
ファイナンシャルプランナーは住宅の購入を考えている方に住宅ローンの借り入れや返済計画についてのアドバイスをおこなう上で必要になる資格です。
どの業界でも重宝される資格で、建築業界や住宅業界でも評価の高い資格となっています。

IT・Web業界への転職におすすめの資格
IT・Web業界への転職に有利に働くおすすめの資格としては以下の3つがあげられます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
ITパスポート | 50%前後 |
基本情報技術者 | 25%前後 |
プロジェクトマネージャ試験 | 13%前後 |
IT・Web業界の資格は民間の資格がとにかく多く、中には数日の対策で取得できる資格もあるため、それぞれの資格に対する評価が大きく異なります。
しっかりと評価される資格を取得したいのであれば、民間の資格ではなく国家資格を取得するべきだと言えるでしょう。
上記の3つの資格は、いずれも国家資格です。
ITパスポートはIT全体に関する幅広い知識を有していることを証明する資格です。
一方、基本情報技術者は、ITエンジニアが身につけておくべき知識を有していることを証明する、ITエンジニアを目指す方向けの資格となっています。
プロジェクトマネージャ試験はプロジェクトを率いる立場にあるプロジェクトマネージャを目指す方向けの資格です。
高く評価される資格ですが、合格率が低く、非常に難易度の高い資格だと言えます。

医療業界への転職におすすめの資格
医療業界への転職に有利に働くおすすめの資格としては以下の3つがあげられます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
医師事務作業補助者 | 50%前後 |
調剤薬局事務 | 60%前後 |
登録販売者 | 30%前後 |
これらの資格は医療業界の資格の中でも特に人気の高い資格です。
登録販売者こそ合格率が30%前後となっていますが、いずれの資格もそれほど難易度は高くなく、未経験から医療業界に進むために取得する資格としては非常におすすめだと言えます。
医師事務作業補助者は、医師が医療行為に専念できるよう、事務作業をサポートすることを目的として取得する資格です。
調剤薬局事務は、調剤薬局での受付や会計をおこなう方が取得するべき資格となっています。
登録販売者は、ドラッグストアで第二類・第三類に該当する薬品の販売をおこなう方が取得するべき資格です。
今後コンビニエンスストアでの薬品の取り扱いがさらに拡大していくと考えられているため、さらに需要が高まる資格として注目されています。


福祉・介護業界への転職におすすめの資格
福祉・介護業界への転職に有利に働くおすすめの資格としては以下の3つがあげられます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
介護事務 | 60%前後 |
介護福祉士 | 70%前後 |
福祉住環境コーディネーター | 3級:70%前後 2級:30%前後 1級:10%前後 |
介護事務所での事務作業やケアマネージャーのサポートをおこなう介護事務は、高齢化が進む中でニーズが高まってきている注目の資格です。難易度もそこまで高くなく、合格率は6割を超えます。
介護福祉士は、福祉・介護系の国家資格です。合格率が70%前後となっているため一見すると難易度の低い資格のように感じられますが、受験資格を得るためには専門学校などで介護について学ぶ必要があります。
福祉住環境コーディネーターは、高齢者など介護が必要な方が快適で安全に暮らせる住環境の実現をサポートするスペシャリストです。
1級〜3級まで用意されていますが、転職で活用したいのであれば2級以上の資格の取得をおすすめします。

法律業界への転職におすすめの資格
法律業界への転職に有利に働くおすすめの資格としては以下の3つがあげられます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
行政書士 | 10%前後 |
司法書士 | 5%前後 |
MOS (マイクロソフトオフィススペシャリスト) | ・スペシャリスト:80%前後 ・エキスパート:60%前後 |
全問的な業界である法律業界へ転職して活躍するには、行政書士や司法書士など専門的な資格の取得が必要になります。
行政書士は、権利義務や事実証明に関する書類を作成し、官公署に提出するなどの作業をおこなうのに必要な資格です。
一方、司法書士は、裁判所や検察局などに提出する書類の作成や登記の手続きをおこなうのに必要な資格です。
しかし、これらの資格は国家資格の中でも特に取得するのが難しい資格であるため、すぐに転職したい場合に取得を目指すのはあまりおすすめできません。
そこでおすすめしたいのが、MOSです。
司法書士事務所や行政書士事務所ではさまざまな書類の作成業務が発生するため、事務的な作業をおこなえる人を常に求めています。
マイクロソフトオフィスは事務作業に欠かせないソフトウェアであるため、取得していると補佐的なポジションとして採用されやすくなります。

金融業界への転職におすすめの資格
金融業界への転職に有利に働くおすすめの資格としては以下の3つがあげられます。
資格名 | 難易度 |
---|---|
証券外務員 | 一種:67%前後 二種:65%前後 |
証券アナリスト | 53%前後 |
貸金業務取扱主任者 | 33%前後 |
証券外務員は、証券会社に勤務して株の売買などをおこなう際に必要となる資格です。難易度は高くありませんが、認知度が高く、評価されやすい傾向にあります。
証券会社だけでなく、銀行や事業会社などへの転職にも活かせるのが、金融のプロフェッショナルであることを示す証券アナリストの資格です。ただ、難易度は高く、数年単位での勉強が必要とされています。
貸金業務取扱主任者は、貸金業においてのコンプライアンスの監視役となる国家資格です。
最近は金融業界を含めどの業界もコンプライアンスが厳しくなっているので、これからより需要が高まっていく資格だと言えるでしょう。
まとめ

転職において資格の取得は必須ではありません。また、資格を取得するには時間やお金もかかります。
しかし、それ以上のメリットをもたらしてくれる可能性があるのも事実です。
その業界や業種で必須と言われている資格や、重宝される資格を持っていれば転職に有利に働くはずですので、一念発起して資格を取得するのもおすすめです。
ただ、あくまでも転職したい業界や業種で求められる資格であることが条件になるので、今回紹介させてもらったそれぞれの業界・業種でのおすすめの資格の情報を参考にしながら資格の取得に励んでみてください。