転職活動期間はどれくらいかかる?

初めて転職を思い立った時には、何をどう準備して進めていけばよいのか、考えることはたくさんあります。特に転職活動期間はどれくらいかかるものなのか、気になりますよね。
「退職願を提出してから転職先を探す」と考えている方はいないと思いますが、流れや勢いで先に仕事を辞めてしまうと、苦労することが多くなります。
次の仕事が決まらないと、転職先を十分にリサーチしないまま、焦って条件の悪い会社で妥協してしまうことが多くなるからです。入社してから失敗だったと気づいても、すぐに辞める訳にもいきません。
そのようなことがないよう、転職活動期間は余裕をもって設定し、着々と準備を進めていきましょう。
転職活動に必要な準備と流れ

転職活動に必要な準備は、新卒時の就活とは全く異なります。
仕事を続けながら転職活動をするのですから、自由になる時間は夜や休日に限られており、効率よく準備して進めていかないと、あっという間に時間だけ過ぎてしまいます。
- 今の会社に退職の意向をいつ伝えるのか?
- 業務の後任者はいるのか?
- 採用面接の時には休めるか?
など、考えておくべきことは多岐に渡ります。
転職活動は、今後のキャリアプランや人生設計を見つめ直す絶好のチャンスです。
焦って妥協したり、流されて転職してしまうと、その後、何度も転職を繰り返すことになり、不毛なキャリアを職歴として残すことになってしまいます。
まず逆算してスケジュールを組む
効率的な転職活動は、スケジュールを立てることから始まります。まず最初に設定すべきはゴールとなる転職予定日を決めることです。
ここから逆算してスケジュールの大枠を組み、具体的な予定を立てていきます。
実際にスケジュールに落とし込んでみると、意外と時間が足りないことがわかります。早め早めの準備が非常に大切です。
ステップ① 転職予定日を決める
ゴールとなる転職予定日を決めます。
ここは「いつまでに転職したいのか?」という自己中心の発想から、
- 「〇才になるまでに」
- 「半年後までに」
- 「新年度のタイミングで」
と、大枠を定めることから始めます。
一般的に、大手企業は新年度のタイミングや、上期下期の切り替えのタイミングで採用を行っているケースが多く、業界によっても、一定のパターンがあることもあります。
ステップ② 退社日を決める
次に退社日を決めます。
まず最初に会社の就業規則を確認しておきましょう。一般的な企業では退職に関して「1カ月前までには退職の意思を示すこと」が規約に書かれていることがほとんどです。
円満退社を目指すなら、まず今のあなたの業務は誰が引き継ぐのか?ということを考えることが重要です。
既に多くの同僚と共同で業務を行っているならば、多くの引継ぎは必要ありませんが、単独で担当している業務がメインの場合は、それらを同僚に引き継ぐための時間が必要です。
専門職の場合は、新たに後任者を採用しなくてはいけないというケースもあるでしょう。
引継ぎに必要な情報や資料をまとめ、次の人が困らないよう準備する時間も必要です。また、明らかな繁忙期に退社するのは、周りに対しても迷惑が掛かります。
これらのことに要する日数を加味して、退社日を設定しましょう。
想定した退社日に退社するためには、いつまでに上司に退職の意思を伝えるとよいか逆算できます。
転職の内定が出てから伝えても間に合うのか、内定が得られなくても、先に伝えなくてはいけないのかをきちんと見極めます。
ステップ③ 企業の求人にエントリーを開始する日を決める
一般的な就活では、応募から内定を得るまでは1か月前後というケースが多いので、エントリーの開始は「ステップ①転職予定日」の1か月半~2か月前が理想的です。
何社か応募しても、二次選考の面接まで辿り着けるかどうかは未知数ですが、あまり多くエントリーしすぎて、面接時期が集中しても困りものです。
その場合は一気にまとめて応募するのではなく、一週間位ずつずらして応募するなどの工夫が必要です。
転職活動に集中して短期決戦を考えている場合は、逆に一気にエントリーし、面接日程もなるべく集中させるという方法もあります。

転職活動で必要な準備

転職活動の成功は、どれだけ入念に準備できたかで決まります。
具体的な準備としては大きく3つあり、転職の目的を明確にすること、自分のキャリアを明確にすること、志望する業界と会社を理解すること、これらをしっかり準備できるかで、勝敗が分かれます。
ここでは自分自身と向き合い、棚卸をして、これからの人生設計を「見える化」させる作業が必要になります。
転職する目的を具体的にまとめておく
まず最初に、転職する目的を明確にします。
「なぜ今転職したいのか?」を自分自身に問いて下さい。これは本音と建て前があって当然です。
今の仕事はきついのに、給料が低い…
今の会社では昇進が見込めない
など、本音をひとつずつ書きだしてみると良いでしょう。
これを対外的に通じる内容に言い換えてみます。
■「今の仕事はきついのに、給料が低い」
→「やりがいのある仕事に就いて、収入を今より増やしたい」
■「今の会社では昇進が見込めない」
→「実力主義の会社でキャリアアップを目指したい」
などです。
ここからできればさらに踏み込んで、より具体的に考えておくと良いでしょう。
- 目指す年収は?
- どんな働き方をしたいのか?
- 5年後にどうなっていたいのか?
- 業界としての将来性は見込めるのか?
この転職理由は、面接でも必ず聞かれる内容のため、マイナスな表現だけでなく、前向きな表現でも話せるようにまとめておくことが重要になります。
自分のこれまでの経歴やスキルをまとめる
次に自分のキャリアを明確にします。
これまでのキャリア、経歴、スキルを棚卸し、自分の強みは何か、市場価値を見極める重要なステップです。ランダムに箇条書きでよいので、どんどん書き出してみましょう。
- 会社でどのような実績成果を残したか?
- 社会人として何を重視して働いてきたか?
- 社会人になって新たに取得した資格やスキルは?
- 性格的な長所は何か?
これらは自己PRのポイントになるものです。時間をかけて一つでも多くの事柄を見つけ出し、文字化しましょう。

性格的な面は、なかなか自分自身で客観視するのが難しい部分があります。無料でできる自己分析ツールなどもあるので、これらを利用してみても良いかもしれません。
- 9つのタイプに性格分類するエニアグラム
- 仕事の適性検査に用いられるエムグラム
志望する業界・企業の研究
最後に志望する業界と会社を理解するというステップです。
今働いている業界と同じ業界で転職したいのか、業界を変えたいのかで大きく異なります。
同じ業界内の転職であれば、同業他社の研究をしっかり行えばよいでしょう。
可能な限りの人脈を駆使し、その業界に身を置いて働いている友人や先輩から、業界の話を聞きましょう。
特にコロナ禍以降、多くの業界で人員削減や早期退職者を募集するなど、事態が急変しています。そもそも中途採用を行っていないケースもあるので、業界については入念に調べて下さい。
その業界特有の文化や、慣習についても事前に知っておきたいことです。
企業の研究については、まず企業サイトを熟読し、再新の四季報を参照して、企業の基礎情報をまとめましょう。その上でその企業の問題点や将来性について熟考します。
- 業界の傾向特徴を知る
- 企業の基礎情報を知る
- 企業の問題点を知る(競合との立ち位置や強み・弱み)
- 企業の方向性を探る(強化したい事業、求めている人材、企業にとっての価値)
スケジュールを基に転職活動を進める

ここまで準備が整ったなら、あとはスケジュールに沿って転職活動をスタートさせましょう。
応募書類の作成
これまで準備した内容を基に、応募書類を整えます。応募書類の作成はかなり時間のかかる作業になるため、情報収集集と並行して進めていっても構いません。
作成するのは
- 「履歴書」
- 「職務経歴書」
- 「送付状」
の3点です。
①履歴書
手書きと指定がなければ、履歴書フォーマットに沿って入力して作成します。都合が悪い項目を削除したりせず、基本のフォーマットに従って作成しましょう。
②職務経歴書
これまでの実績を伝え、自己PRするために必要な職務経歴書は、最も時間をかけて作成する必要があります。
まだ20代で大きな実績が少ないという場合は、書くことがあまりなくて苦労しますが、少なくても1~2枚になるようまとめましょう。
ここでの注意点は、業界特有の表現や、専門職の人しか分からない表現を避け、誰が読んでも理解できるように、一般的な表現になるよう気をつけて書くということです。
特に英語の略字など、知らない人にとっては意味不明なことが多くあります。書類が出来上がったら、1度第三者に読んでもらうと良いでしょう。
③送付状
①と②を持参して提出する場合には不要ですが、郵送する場合には送付状(添え状)が必要になります。これはご挨拶と共に
- 「誰が」
- 「何を」
- 「どれだけ送ったのか」
を採用担当者に伝えるためのもので、正しい体裁でまとめられていれば、その時点で好感度を与えることができます。
送付状に必要な要素は以下の7つです。
- 送付の日付
- 宛名・・・〇株式会社 人事部採用後担当者様
- 自分の名前と連絡先・・・携帯番号は必須
- あいさつ文
- 応募の経緯
- 面接の申し込み
- 同封書類の一覧・・・履歴書1部・職務経歴書1部(〇枚)
多くのひな型がWeb上にあるので、それらを参考にしながら、ビジネス文書の作成ルールを押さえた上で作成しましょう。
応募・面接
応募書類を提出し、無事に一次審査が突破出来たら、面接の連絡が入ります。通常応募書類を提出してから1週間くらいで連絡が入り、1週間後に面接となることが多いようです。
面接の日程は、一般的に平日の日中から夕方に行われることが多いので、全休または半休を取って対応できるようにします。応募する会社は1社だけではないはずなので、面接タイミングが集中する可能性があります。
面接については、面接日が決まってから練習しようと思っていても、実際は慌ただしくなってしまうことが多いようです。書類を提出したタイミングで、想定問答を考えて、面接練習も併せて行っておくのがベストです。
転職の面接で必ず聞かれる質問は、
- 転職理由
- 志望動機
- 前職での成果
などです。あらかじめ準備して、十分に練習しておきましょう。

また、この想定問答で重要になるのが、先に行った企業研究と、自分のキャリアのすり合わせです。応募企業が求めている人材を把握した上で、自分がそれに適した人材であることをアピールすることが大切です。
いかに自分のキャリアが、会社の将来に貢献することができるかを明確に打ち出せると、面接の勝利はもう目の前です。
他にも、面接時の身だしなみや、立ち振る舞いのマナーなど、好印象を与えられるように対策を立てて、準備しておくとよいでしょう。意外と盲点になっているのが、面接時の服装と持ち物です。面接時に使えるものが揃っているかどうか、事前にチェックしておきましょう。
- 紺、黒、チャコールグレーなど、ダークカラーのスーツ
- 白の無地か、白が基調の淡いストライプのワイシャツ
- ストライプや水玉などベーシックなネクタイ
- 黒の革靴
- 黒か濃紺のビジネスソックス
- 黒のA4サイズが収まるビジネスバック
※女性も上記に準じる
入社準備・退職準備
無事に内定を獲得することが出来たら、いよいよ入社のための準備と退職準備です。
会社の就業規則に準じて、できる限り早めに直属の上司に退職の意思を伝えます。退職の意を伝えるときには、退職願などの書類を準備するよりも先に、
ご相談したいことがあるのですが、お時間いただけますでしょうか
など、まずは「相談」として声掛けすると、角が立ちにくくなります。
退社時にトラブルになりやすいのは、転職が決まって突然「退職願」を上司に提出するパターンです。まずは先に直属の上司(リーダーやチーフなど)に転職の意向を相談として伝えてから、上司へ退職願を提出するというステップを踏むことがポイントです。
ここで気をつけるポイントは、「相談」として現状の不満などを伝えてしまうと、その不満を解消し、退社を引き留めるための提案をされてしまう可能性があることです。
会社に対する不満などは口にせずに、あくまでも自分の意志で、前向きに退社したいということを伝えることが大切です。
転職活動の準備を円滑に進めたいなら転職エージェントがおすすめ

ここまで転職活動の準備がいかに大切かを紹介してきましたが、転職活動を円滑に進めるには、転職エージェントを活用するという方法もあります。
自分のキャリアをまとめる職務経歴書の作成や、自己分析に基づいて自己PRをまとめるのは、想像以上に難易度が高いものです。第三者の視点が入ることで、より良くブラッシュアップすることができるでしょう。

転職エージェントは、キャリアチェンジをサポートする、いわば転職のプロフェッショナルなので、これらの作成サポートはもちろんのこと、面接時のアドバイスや、想定問答による面接練習なども受けることができます。
まとめ
転職活動では何を準備して、どう進めていくのかよいかについて紹介しましたが、これらの転職準備は自分のプライベートな時間を使って行うことが大前提です。
勤務中に転職サイトを見たり、“心ここにあらず”の状態になっていると、周りの社員は必ず気がつきますので、在職中は目の前の業務に集中するよう、気を引き締めて活動することを心がけましょう。
転職活動は、今後のキャリアプランや人生設計を見つめ直す絶好のチャンスです。焦って妥協したり、流されて転職してしまうことがないよう、しっかりとスケジュールを立て「本当に行きたい業界」「勤めたい会社」に転職できるように、総力を挙げて頑張りましょう。